真夏の夜の夢(Ein Sommernachtstraum, A midsummer Night's Dream)

第254回目の公演    2005年6月23日(木)


ウィリアム・シェイクスピア原作によるジョン・ノイマイヤーのバレエ

感謝とともにアウグスト・エヴァーディングに捧ぐ

音楽 フェリックス・メンデルスゾーン・バーソルディ
ジョルジ・リゲッティ、伝統的なオルゴール音楽
振付・演出 ジョン・ノイマイヤー
舞台美術・衣裳 ユルゲン・ローゼ 指揮 ハワード・ウィリアムズ
演奏 フィルハーモニッシュ・シュターツオーケストラ


プロローグ
結婚式前夜

ヒポリタ へザー・ユルゲンセン
ヘレナ ジョエル・ブーローニュ
ハーミア アンナ・ポリカルポヴァ
ヒポリタの友人
アーニャ・ベーレント、オデット・ボーヒェート、
ジョージーナ・ブロードハースト、カトリーヌ・デュモン、
アンナ・ハウレット、リサ・トッド
デメトリアス、会計官 オットー・ブベニチェク
二人の兵士 エミル・ファスクートディノフ、エドウィン・レヴァツォフ
ライサンダー、庭師 イヴァン・ウルヴァン
シーシアス、アテネの大公 イリ・ブベニチェク
フィロストレイト、余興の監督官 シーシアスの廷臣 服部有吉

職工たちのグループ
ツェッター、機屋 ロイド・リギンズ
フラウト、ピーター・ディングル
スケンツ、大工 ロリス・ボナーニ
シュルッカー、仕立て屋 セバスティアン・ティル
シュナウツ、鋳掛屋 アントン・アレクサンドロフ
シュノック、指物師 コンスタンティン・ツェリコフ
クラウス、オルゴール廻し エデュアルト・ベルティーニ

お針子たち
アリソン・ブルッカー、クリステル・チェンネレッリ、フィリパ・クック、
ゲイレン・ジョンストン、マリア・コウソウニ、イリーナ・クロウリコヴァ、
カロリナ・マンクーソ、アンナ・Rabsztyn、エミリー・スミス、
ディナ・ツァリポヴァ
宮廷画家 アンドリュー・ホール
会計主任 オーカン・ダン

第一幕


ティターニア へザー・ユルゲンセン
オーベロン イリ・ブベニチェク
パック 服部有吉
くもの巣 カトリーヌ・デュモン
豆の花 マリア・コウソウニ
カラシナの種 オッデト・ボーヒェート
 ヨハン・ステグリ
ティターニアのお供
アントン・アレクサンドロフ、シルヴァーノ・バロン、
ステファン・ボウゴン、アントナン・コメスタッツ、
オーカン・ダン、ボイコ・ドセフ
エミル・ファスクートディノフ、アンドリュー・ホール
ティターニアのお気に入りの妖精 エドウィン・レヴァツォフ
妖精
アーニャ・ベーレント、ジョージーナ・ブロードハースト、
フィリパ・クック、アンナ・ハウレット、ゲイレン・ジョンストン、
ステラ・カナトーリ、イリーナ・クロウグリコヴァ、
アンナ・ラウデール、カロリーナ・マンクーソ、
ステファニー・ミンラー、大石裕香、アンナ・Rabsztyn、
リサ・トッド、マリアナ・ザナットー、ディナ・ツァリポヴァ










第二幕
目覚めと結婚式

ヒポリタ、へレナ、ハーミア、
シーシアス、デメトリアス、ライサンダー、フィロストレイト
 と

宮廷の人々
アーニャ・ベーレント、アントナン・コメスタッツ
アンナ・ハウレット、アンドリュー・ホール
ゲイレン・ジョンストン、ステファン・ボウゴン
アンナ・ラウデール、シルヴァーノ・バロン
デメトリアスの同伴者
カトリーヌ・デュモン、エドウィン・レヴァツォフ
マリア・コウソウニ、エミル・ファスクートディノフ
ヘレナの(花嫁の)付添い人
ジョージーナ・ブロードハースト、カロリナ・マンクーソ、
大石裕香、マリアナ・ザナットー
ライサンダーの同行者
アルセン・メグラビアン、ヨハン・ステグリ
オデット・ボーヒェート、クリステル・チェンネレッリ、
ステラ・カナトーリ、リサ・トッド
ハーミアの(花嫁の)付添い人
フィリパ・クック、アンナ・Rabsztyn

ミリアナ・Vracaric、ディナ・ツァリポヴァ

ディヴェルティスマン
ピラマスとシスビー

ツェッテル/ピラマス ロイド・リギンズ
フラウト/シスビー 
ピーター・ディングル
スケンツ/森 
ロリス・ボナーニ
シュナウツ/森 
アントン・アレクサンドルフ
シュルッカー/月 
セバスティアン・ティル
シュノック/ライオン 
コンスタンティン・ツェリコフ
クラウス、オルゴール回し 
エデュアルト・ベルティーニ














 


maddieさんにお願いして感想を書いていただきました。感謝。
以下はmaddieさんの寄稿です。(S)

このバレエは私がはじめて見たノイマイヤー作品でした。86年、ハンブルクバレエ初来日に時のことです。何の予備知識もなく、ほとんど偶然のように見たのですが、余りの感動でしばし思考停止、私のバレエ感をすっかり変えた作品でした。今年のBallett-Tageの演目に「真夏〜」を見つけて有頂天、また「真夏」を見ることが出来る!今回一番楽しみにしていた演目です。

久しぶりにみた「真夏〜」は今でも斬新でした。タイターニアと臣下たちの、組み体操さながらの振り(見ていてとても緊張しました)、ゆったりしたスローモーションのような妖精たちの動き、幻想的なメタリックの衣装と音楽、異次元に舞い込んでしまったような錯覚を覚えます。 そして幻想的な森で繰り広げられるのは、ドタバタふう喜劇でなんともミスマッチ、滑稽さが余計引き立って思いきり笑えました。

相思相愛のライサンダーとハーミアを踊ったイヴァン・ウルバンとアンナ・ポリカルポヴァのハッピーな笑顔はとてもチャーミングでした。イヴァンは前日に決して笑うことのない冷徹なアシェンバッハとはなんという違いでしょう。ジョエル・ブーローニュの一途に恋をするコメディエンヌ振りは素晴らしかったです。なりふり構わず愛するディミトリアスを追い掛け回す「丸めがね」のヘレナを見て大笑いしながらも「頑張れ」と応援したい気持ちになりました。初めて見たときにはバレリーナが丸めがねで登場とは、とびっくり仰天したものでした。演劇では見たことがないのですが、原作を読む限りではヘレナは片思いに悩む普通の女性のように描かれています。 丸めがねの「三枚目」キャラはノイマイヤーのオリジナルなのでしょうね。

パックは「そそっかしい いたずらっ子」のようで服部さんは心から楽しんで演じているようでした。いたずらっ子が巻き起こした騒動はとんでもなく大きくなるわけですが、張本人はどこか飄々としてそれすら楽しんでいる風もあり、つかみどころのない「アニメ風」の妖精という感じでした。貫禄たっぷりのオベロン(イリ・ブベニチェク)との絡みは、一昔前の威厳のある父親がいたずらが過ぎる息子を厳しく叱る図のようで微笑ましかったです。

大笑いする場面はたくさんあるのですが、なんと言っても村の職人達が結婚式の余興で演じる素人劇のシーンが最高でしょう。この一団はとにかく場違いな感じで、ただ出てくるだけでも笑いを誘うのですが。「ピラマスとシスビー」を面白く、しかしいたってまじめに演じる(踊る)のですが、あまりの「田舎喜劇役者」ぶりにはとにかく大笑いしました。とりわけ前日の「ヴェニスに死す」で、ノーブルなフリードリヒ大王を踊ったピーター・ディングルの女装とメークと真っ赤なポワントでの見事な(?)踊りにはハラハラするやらおかしいやらで、楽しませてもらいました。


おもな配役が2役なのは夢と現実が行き来しているようでとても面白く、意味深長ですね。結婚式の祝典が終わって、最後に残ったフィロストレイトが花(ばら?)をさっと放って舞台を去って行く場面では、ひょっとしてパックとフィロストレイトは同一人物なのかしらと考えてしまいました。最後の場面は再び森の中に戻って、眠りから目覚めたタイターニアとそばで見守っていたオベロンが仲直りするのですが、ここは二幕のはじめに、眠るヒポリータの傍らでシーシアスが見守っていて…というシーンと 重なっているのですね。単に笑いだけではなく、余韻が残る作品です。そして見終わった後は幸せな気分になりました。
( maddie )